どんな研究室?

ようこそ。ここは早稲田大学教育学部・理学科地学専修に所属する衛星地球観測学研究室のウェブサイトです。2018年春に設置された新しい研究室です。

地球観測衛星のデータを利用した、地球惑星科学の研究を推進します。主な研究テーマは「氷河氷河湖の変動解析」「災害把握手法の開発」「先端ICT技術を利用した衛星画像解析システムの開発」などです。学生諸君の卒業研究においてはこれらに限らず、各自の興味関心をモチベーションとする研究課題を積極的に進めます。現地調査データや統計情報を複合的に利用する際には、主にGISを活用します。

地球観測衛星とは?

地球観測衛星とは、人工衛星のうち地球を周回して地球表層の物理量を計測するもののことです。気象衛星「ひまわり」が良く知られていますが、その他にも様々な衛星が観測を続けています。当研究室では米国のLandsat衛星など、主に陸面を観測対象とする衛星を利用します。

「地球でいま何が起きているのか?」そして「どのように変化してきたのか?」を客観的かつ定量的に把握できる地球観測衛星データは、まさに人類が平和に生存し続けるための”道しるべ”と言えます。世界中の衛星が24時間365日、私たちの星を見守り続けています。

膨大な衛星データが何を意味するのか?

何を人類に教えてくれるのか?

地球規模のアイデアと探究心で、私たちと共に解き明かしてみましょう!

GISとは?

さらに必要に応じて「GIS」を用いた本格的な空間情報解析を実施します。GISは「地理情報システム(Geographic Information System)」の略であり、コンピュータ上で動作するソフトウェアの一種です。地図上に様々な画像や位置情報を重ねていき、それらの関連性を定量的に調べることができます。印象は、グーグルアースとエクセルを合体させたものに近く、いわゆる「ポイント」や「ポリゴン」などを描画し、それらをまとめたテーブル上で表計算することで、地球科学データに限らず様々な地理空間情報を組み合わせた分析が可能になります。地球科学に限らず様々なビジネス、行政、農林水産業、国際支援、防災・防衛などで利用が進んでいます。

何のために研究するの?

持続可能で安全・安心な文明社会を実現するためには、我々の居住する地球表層において、物質やエネルギーがどのようなシステムで循環しているかを理解する必要があります。地球惑星科学はその最も土台となる見識です。目に見える自然現象の裏側にどのような仕組みがあり、それに対して人間活動がどのような影響を与えていて、今後どう変化していくのかを理解することが、衛星地球観測学における真理の探究の「核」となります。

さらに、気候変動など人類が近い将来に直面するであろう課題を解決するためには、国際社会において合意形成・意思決定に資する客観的情報の提供と共有が必要となります。衛星データは様々な物理量を提供しますが、それを上手く課題解決につなげるためには、ただデータを提供するだけでなく「どのような形で提供するか」の工夫が必要となります。観測>データ>情報>解釈>意味付け>合理的行動>人類にとっての不幸の軽減、のフローを洗練させることで、衛星観測が世に与える恩恵はさらに堅実なものとなります。

衛星地球観測のこれから

観測センサの高度化と情報ネットワーク技術の発展に伴い、人間の目では追いきれないほど大量の観測データが流通する時代を迎えつつあります。それによってAI(人工知能)やクラウドコンピューティングを駆使した次世代の衛星画像処理技術に、今まさに投資が集中しています。また、保険事業でのリスク評価・罹災証明や農業生産における収量把握など、新たな用途での利用可能性も確認されつつあります。衛星地球観測は今後数年で、今よりもはるかに実用的で身近な存在へと変貌を遂げることでしょう。