衛星地球観測学研究室:卒業研究のねらい
「衛星画像解析の専門家」を養成することではなく、地球環境や自然災害を俯瞰的にとらえる視座を習得し、今ある科学的課題を自らの知性・感性によって定義し、その解決策を客観的に実証・評価する力を身につけること(=「研究活動を通じた科学教育」)を第一に目指します。学生ファーストです。
一方で、衛星データを使ったサイエンスやビジネスは今まさに爆発的進化を遂げつつあるので、興味がある学生には関連分野への進学・就職も全面的にサポートします。
FAQ
- 研究テーマはどうやって決めればいいですか?
第一に学生自身からの自由な提案を歓迎します。難しければ助け舟を出します。教員が興味ある話題も例示するので自由に発展させてください。横からのサポートは惜しみませんが、細かな指示は出さないつもりですので、いずれの場合でも主体的に取り組んでください。
- プログラミングの勉強はどれくらい必要ですか?
このラボでは情報工学を勉強するわけではなく、一つの道具として使うだけなので、特定のアルゴリズムだけを頻繁に使うことになると思います。どんな言語でどんなことができるかはブログなどを漁ればいいと思います。何かCUI処理が必要になったら必要な分だけググれば良いと思います。不安なら本を一冊買ってきて頭から順番に手を動かしていけばいいと思います。学会や情報系の学部に質問できるお友達を増やすのも有効かもしれません。
- フィールド調査は必要ですか?
必須とはしていませんが、もし自分の研究に必要と思ったら積極的に相談してください。基本的に国内であれば実施は可能です。今現在、新潟県長岡市で冬の積雪観測の予定があります。また、国内災害時の「だいち2号」の観測と同時にドローンを飛ばすことを考えています。
- 修士で研究テーマを変えることはできますか?
はい。地球科学の周辺領域であれば大抵のことはできるでしょうし、足りない知識は本を読んで補えば良いだけです。知り合いにもその様な人は沢山います。
- バイトがあるのですが、研究室には毎日来なければいけませんか?
人に支配・管理されることに依存心や安心感を持って欲しくないので、各自の責任で計画的に進めてください。定期的に個別の研究進捗相談の時間を作りますので、そこで健康的に卒論が進められているか、援助が必要な状態でないかなど、様子を確認します。
机に座っているだけでは研究は前に進みませんね。だらだら生産性のない時間を過ごしてなんとなく仕事した気になるよりも、徹底的に集中する時間と徹底的にリラックスする時間を自分で管理できるようになれると良いですね。ちなみに特に修論の場合ですが、ラボとは別の”Third Place”があったほうが精神衛生上、なにかと安全です。スタバとか。
自由であれ:限りある時間を売って生きるか、無限のアイデアを売って生きるか
世のなかには「時間」を売る商売と「アイデア」を売る商売の両方があるといえるでしょう。
「時間」は私たちが一人残らず毎日24時間、平等に与えられ、そして使わなければ自然に消えていく「資産」と言えます。例えば専門能力を必要としない一般的なアルバイトでは、その資産をお店などの事業主に売却して、働いた時間分の”時給”を得ているわけです。
誰かに管理されることで安心感を得るような状態に慣れてしまうと、自分の所有する「時間」を毎日誰かに切り売りしなければ生きていけなくなります。運が悪ければ、不当な支配や搾取に気づかず、そこから抜け出す術を無くしてしまうかもしれません。自分が他人に売り出せる「時間」は、どんなに頑張っても1日24時間まで。しかも「時間」は手元に貯めておくことが出来ない資源です。
卒業研究など学術研究の活動を通じて、自らの知性で今ある課題を定義し、新たな「アイデア(≒仮説)」を創造し、品質保証し、適切に表現する力を身につけることが出来ます。自分の内側から湧き出る「アイデア」に容量制限はありません。それを生業の原資とすることで、自己資本を増やしたり、足りないものを互いに交換する人脈の獲得が、無制限に可能になります。学問を究め「アイデア」を作り出す技術を身につけることで、何者にも支配されない自由な精神の下での生存が可能になるのです。